「あちゃ~、とうとうやっちまったー。」
どーしたの?
土曜日の稽古後、車に乗ろうと思ったら・・・
「あ!看板を忘れてきちゃった・・・。」
と、気づいた時はすでに遅し、管理人のおじさんは鍵をかけて帰った後である。
やばいよ!やばいよ!である。
これまでにも何度か看板を忘れそーになったのであるが、
いつもお弟子さんが気づいてくれて助かってたけど、ついにやっちまったのである。
「本当にごめんなさーい。」
ん~、咲心館の看板だから大切なのはわかるけど、
あんなモン、誰も盗んでいかねーだろーから、次の稽古の時でいいんじゃねーの。
そーだな。
ん?あんなモン?
ダメだ、絶対にダメだー!
去年の10月、咲心館を設立する決意を決めた咲心太郎は、
「看板を創ろう♪」と思い立って、すぐに木の板を買って来て、
小学生以来の彫刻刀を持って、自分で文字を彫り、色を付け、
手作りで看板を創ったのである。
で、去年の12月9日の夜中にその看板と咲心館の真っ新の道着を持って一人、
白山比咩神社へと向かったのである。
神社に到着すると放射冷却の影響で気温はマイナス3度、辺りはまだ真っ暗である。
駐車場で道着に着替えて、看板をリュックに入れて参道を歩いていき、
本殿には一礼だけして、すぐさま神社の隅の「白山奥宮神社」へ向かったのである。
誰もいない、わずかな明かりだけの暗い神社の中は静寂に包まれ、
その神妙な空気に何か安心感のよーなものが起こり、
自分の思考があるよーな、ないよーな、何とも言えない気分である。
で、リュックから看板を取り出し神前に祀り、一礼し柏手を打って参拝を済ませ、
立禅~スワイショウ~基本稽古~移動稽古~、
太極、三戦、転掌、内歩進、撃砕第一の型~、
そして組手のシャドーと、
咲心太郎の空手の全てを「白山神社奥宮」に奉納したのである。
するとやり出してすぐ、身体を動かしたからではない「温かさ」に包まれたのである。
マイナス3度の石畳の上での素足すら、温かいのである。
ククリヒメちゃまご降臨♪
ずっと恋い焦がれ、この10数年は、幾度となく白山へと登り、
その度に山頂の社の前でひれ伏してきたのであるが、
決してその存在に出会えることはなかったのである・・・
が、この日、この時、この神社で、この「温かさ」が、
ずっとワタシを守り育ててくれてたことを肚と胸の奥で知ったのである。
で、奉納を終えて神社を出た帰り道、しばらくすると、身体の芯から冷え切って、
足の裏は感覚が無くなるほど冷えていることに気づかされ・・・
「幻想じゃなくてマジだったんだ、あの温かさって。」
その看板を忘れるってさ、
「ククリヒメちゃまを一人ぼっちにしたらアカンだろ。」
で、やばいよ!やばいよ!である。
「翌朝、お迎えに行こう。」と思ったら・・・
第3日曜日は施設がお休みだったのである。
「もう1日、一人ぼっちかよ。」
マジで、やばいよ!やばいよ!である。
で、今朝、一番にお迎えに行ったのである。
「ごめんね、ククリヒメちゃま~。」
さて、厳しくて優しいククリヒメちゃまは、
お怒り心頭なのか、お許しいただけるのか・・・
ワタシの今後が楽しみ♪である。
で、もう、絶対に忘れねーぞ!
と、いつも、失敗せな学べねーんだな、オレは。
緩み過ぎかね。
咲 心太郎
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