まだまだ・・・「強くなるより上手くなれ。」

昨日、稽古を終えると62歳のMさんと59歳のKさんが、

「まだまだダメなところがたくさんありますねー。」

「まだまだ直すところだらけです。」

なんて話してね、

「それってさ、まだまだ自分が良くなる可能性なんじゃねーの。」

って、ボクは答えるんですね。

 

Mさんはボクと同じ前道場で、Kさんは他流派の道場で、

長年、空手をやって来ていて、

そして、ボクの咲心館に来てくれたんだけど、

それまでは、おそらく、二人とも、

「空手で強くなる。」

ってな大きな括りの思いの中でやってたと思うのね。

で、

坂道を走るとか、大縄を振りまくるとか、ひたすらサンドバックを打つ・・・

まぁ、肉体を苛め抜くことが、空手の美学にもなっているから

ずっと、そんな稽古に励んで来たようで・・・

でもさ、

加齢と共に体力が衰えるのは避けられないわけで、

ひたすらサンドバックを打っていても、

せいぜい現状維持！が精一杯の年齢なんですねー。

 

それが、

2年前、ボクが独立して咲心館を設立したら

どういうわけか？

前道場を辞めちゃって、ボクの咲心館に来たので、

「それじゃー、ちゃんと基本からやろーね。」

それまでは出稽古という形で来てたから

咲心館にも出稽古に来ると思ってたのに・・・

（じゃー、もう、前道場長にも遠慮しなくてイイじゃん。）

それまでは、

前道場がやらないことは教えちゃダメだと思って、

教えていなかった・・・けど

基本稽古、移動稽古、型稽古、ミットの打ち方、立ち方、身体の使い方、意識・・・

もう、最初から、

ボクの空手の全部を教えることにしたんですね。

「強くなるより上手くなれ。」

って。

 

それで、

最初の頃は、基本をやると、

「いったい空手を何年やって来たの？」

まぁ、ボクの基本稽古の身体使いは難しいけど、

それを抜いても、立ち方から何もかもが酷過ぎる・・・

「そんなの出来る気がしません・・・」

そんなことも言ってましたっけｗ

（もしかしたら、難し過ぎてイヤになっちゃうかもなぁ・・・）

と、思いながらも、

全部教える！って決めた以上、

稽古に来る限りはやることにしたんですね。

 

それから2年が経ち・・・

そんな同じ稽古の繰り返しをイヤにもならず、飽きもせず・・・

それどころか、

ますます意欲的になって

自分のたくさんの欠点を見つけながら稽古に励み、

一つずつ、少しずつ改善して行ってる・・・

それで、

2年前の稽古をやってる姿とは別人のようにさえ見える。

「成長してる実感があるでしょ？」

と、訊ねると、

「はい。」

にんまりしながら2人とも首を縦に振った。

それでよろしい。

すげー62歳と59歳だ。

人間はいくつになっても成長が出来る！

この人たちには、

その「生き見本」になってもらうつもりだ。

ま、

まだまだ欠点だらけ⁉まだまだ出来ないことだらけ⁉

ってことを見つけてわかってるんだし、

若い頃からの身体の使い方をするな！

って、老化はそれほど関係のないやり方を教えてるんだし、

有り余るほどの情熱がある！

何と言っても、これがホントに凄いから

まだまだ良くなるだけだね。

あ！

「20代の頃の自分よりも強いと思います。」

っても言ってたっけ。

あのさ、

だからさ、

「強くなるより上手くなれ！」

って言ってるんだけどなー。

ま、

気持ちがまだまだ若いんだね。

で、

若いからまだまだ下手なんだよ。

でも、

まだまだ期待してますヨ。

 

咲　心太郎