「オマエは、とことんまでやれ!」

今日の午前中は、

1年ぶりくらいで80代の爺さん☆が一人、お店にやって来た・・・

この爺さんは、

いろんな機械類を直す職人で、今も現役・・・

なかなかの強者、また、なかなかの変わりモンで、

また

世間様のことやいろんなことを知っていて、

さらに

このボクに対して、思うことを何でも言ってくれる貴重な御方だ。

こーして、忘れた頃にいつも突然やって来る・・・

10年くらい前だったか・・・

突然、柿を持って来てくれて、

「これ、今、取って来たから、一つ食べろ!」

差し出されたのは、ナント!シブ柿!だった・・・

「ウソやろ?食えるわけねーじゃん!」

と言うと、

「身体にエエんじゃ。生涯で1個だけ食っとけ。」

マジですか!

(はは~ん、さては、普通の柿をシブ柿って言ってやがんだなw)

そんで、

ガブッ!と一口食べたら・・・

「ぎゃぁぁぁぁ~~~ッ!」

口の中と唇がとんでもないことになったw

「全部!食べろ!」

(何を食わすんじゃ、クソ爺め!でも、喰ってやろーじゃねーの!)

マジで、死ぬかと思ったけど、

ヘンな汗をかきながら

ど根性で、1個、丸ごと完食してやった・・・

しばらくは、口の中と唇が恐ろしいほど、大変なことになった。

「大したもんや!」

そんなんで、褒めていらんわいッ!

 

そんな今日は、

いきなり、

「オマエ、この商売、どーするんじゃ?」

あら、そんな話をボクにしてくれるのは、お爺様だけね。

「消防署に期限付きで処分するって言われてて、どーしよーか悩んでる。」

って、どーにも出来んのやけど・・・

「もう、辞めとけ、辞めたモン勝ちや。」

(やっぱ、そーかな~。)

「ガソリンスタンドに未来はない。」

(ま、いずれ電気自動車になるしね。)

「空手でがんばれ!」

(うん、やってる。けど、そんなすぐには成功しないよ。)

「店を壊して更地にして売れ。」

(じゃ、更地にするお金をちょーだい、あの世には持って行けないんだからさ。)

「ワシもいろいろ問題があるんじゃ・・・」

(あらら、お金があっても大変なんだね。)

「とにかく、商売は辞めろ。」

(辞める気が100%になれないから悩んでるの。)

「オマエの肚一つ!や。オマエが決めろ!」

(わかってるよ、でも、まだ決められないのよ・・・)

まぁ、

こんな感じで、

爺さんの自分の話やらボクの話やら・・・

1時間ほど喋っていたら・・・

突然、

爺さんは少し座り直して、ボクに顔を近づけて、

急に真顔になって、

「オマエは、とことんまでやれ!簡単に辞めるな!とことん粘れ!」

少し、語気を強めて言った・・・

え!

今、何て言ったん?

つい、さっきまで辞めろって言ってたよね?

ホントにさ、

どれだけ付き合っても、わけのわからん爺さんだぜ。w

で、

帰りを見送りに行くと、

また爺さんは、

「とことんまで、行くとこまで行け。簡単に消防署の言いなりになるな。」

そー言って、

何十年も乗ってる車に乗り込んだ・・・

デコボコのポンコツで、荷台にはガラクタだらけの車・・・

最近は、来る度に老いぼれて見える、その姿・・・

「オレと空手をやろっか?教えてあげるよ。」

マジメに言うと、

「アホか・・・無理や。」

そーなの、残念だな。

「身体を大事にしてや~。」

ボクは、

爺さんの車が見えなくなるまで、見送った。

「また、来てや。」

(ありがとう)

って。

 

辞めろ!ってさんざん言われた後に

とことんまで行け!と言われて・・・

ますます、

ボクは、

どーしたらイイのか?わからなくなった・・・

だけど、

何故か・・・

心がすごく軽くなった・・・

そんな気がする。

 

ってさ、

とことんまで行け!ってさ、

どこへ?

どこまで?

あっち?

こっち?

どっち?

今日までのボクは、

今いる、ここが「とことん」の果て…だと思ってた。w

まだあったんだね。

ラッキー♪

or

アン・ラッキー?

 

咲 心太郎

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