空手のように立ったまま身体を動かす場合に一番大切なことは、
その立った姿勢と立っている身体の力感などの感覚、そして心境である。
なので、咲心館では、稽古前に「立禅」をやるのである。
「立禅」とは、「立ったまま、まったく動かない「という稽古である。
動かず何もせずに立って、その立ちを良くするのである。
その良い立ちで動けば、良い動きになるからである。
では、良い立ちとは?
「天と地を結ぶ力「である正中線が身体の中心を通り、真っ直ぐに立ち、
その線と立った形を保ったまま、心と身体を出来る限り緩めるのである。
ワタシは15年くらい「立禅」をやって来ているのであるが、
年々、今でも以前よりも緩んでいくのである。
つまり、いくら緩んだと思っても、思う以上に身体や心は固いのである。
その固い身体や心はどこかに「歪み「を生じるのである。
でも、2,3年くらい毎日やってれば、それなりにかなり緩むのである。
正しく立った場合に緩むのは、「表層筋肉」と「自我の脳みそ」なのである。
で、その緩んだ状態で突きや蹴りを繰り出すのである。
この緩んだ状態で突きや蹴りを出すということは、
「表層筋肉」と「自我の脳みそ」が、わずかしか働かないということである。
そーすると、「深層筋肉」や「氣の力」などで身体を動かすことになるのである。
こちらが本来の動きや力で、「表層筋肉」と「自我の脳みそ」はその付録なのである。
その様に人間は出来ているのである。
その身体を動かす力の中心が「臍下丹田」、ワタシの言う「肚力」である。
「肚力」で動き出し「氣」が流れ、「筋」を動かすのである。
「アイツは、なかなか筋がイイ。」
なんて言葉も、昔の人は「筋」をよく知っていたのである。
この「筋」を動かすと「氣」の流れが良くなり、「氣道」も育つし、
「筋」は普通に使っていれば、衰えるスピードは筋肉よりも格段に遅いのである。
が、今の時代は、「表層筋肉」や「表層筋力」しか知らなくてそれしか使えない・・・
「筋」を動かせない、使えない人が多いのである。
で、年を召されるごとに「表層筋肉」が弱っていって老いぼれてしまうのである。
「表層筋肉」を使わなければ「筋」を使えるのであるが、
筋力が衰えた老人になってからでは、使ってなかった「筋」も衰えているのである。
逆に「筋」が使えて「氣」の流れが良ければ、元気なお年寄りに成れるのである。
また空手の技も格段にUPするのである。達人にだって成れるのである。
で、良い立ちを育てることが、健康にも空手の技にも大切である。
「筋」で立つ、「筋」で動く、「筋」で締める・・・
正中線、丹田、氣は「筋」が重要なポイントである。
箸を使う、鉛筆を使う・・・
これらも「筋」である。
咲 心太郎
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