「空手の鬼」から「空手の先生」へ。

今日は奏ちゃんがお店に来てくれたのである。

明日の朝早くにいよいよ遠く離れた都会へと旅立ちである。

先日の稽古でのみんなとのお別れはちょっぴり涙したけれど、

今日は、笑顔でお別れ出来たのである。

で、またいろんな思い出が蘇ってくるのであるが、

「あ!そー言えば・・・」

先日、パソコン内の動画などを整理してたら、

奏ちゃんの兄弟子の子の試合の動画が出た来たのである。

で、観たいと言うお弟子さんがいたのを思い出して急いでアップしたのである。

イイ試合なので観てちょ♪

 

 

この子も奏ちゃんと同じく、小学1年の時に来て、

県外の大学へ進学するまでの12年間、ずっとワタシの空手に来てたのである。

その進学直前の最後の試合である。

「先生に優勝をプレゼントする。」

と、言って試合に挑んだことを後から知らされたのであるが、

それを知る前から、この試合の姿を見ると涙が出そーになるのである。

12年間の全て!が、この姿から出ているのが見て取れるからである。

 

前道場の支部を任された当時は、2年ほどすると、ほとんど誰も稽古に来なくなって、

支部を閉めようと思ったのであるが、

そんなところへ来たのが小学1年だった、この子である。

ま、誰も稽古に来なくなったということで、

ロクでもねー先生だったということはお分かりになると思うけれど、

この子とその親は、

「他の日にも稽古をつけていただけませんか?」

と、道場稽古以外の稽古まで申し出てきたのである。

そして、そこからマンツーマンでの稽古が12年続いたのである。

その間、この子とは数え切れないほどド突き合い、

それで、「ド突き愛♡」というモノを知ったのである。

 

当時は、空手に本気で燃え出した頃で、

「とにかく強くなる。」

ただ、それだけでやってたのである。

で、小学1年の子供を相手に・・・

今なら、おそらく、その稽古を見た人に児童虐待で訴えられるような、

そんな稽古とも言えないような稽古をやってたのである。

どれだけ泣かしただろ・・・

それでも、この子は必死に喰らいついてがんばったのである。

 

そんな数年後に

「ウチの子も稽古につけてもらえませんか?」

と、言ってきたのが、奏ちゃんとそのお兄ちゃんのお父さんである。

で、またこちらも引き受けて、

まぁ、児童虐待のような、いやそれ以上の稽古をやって、

どれだけ泣かしただろ・・・

それでも、奏ちゃんもお兄ちゃんも、大学進学まで、やり続けたのである。

 

で、今日まで残ってた奏ちゃんがいよいよ明日旅立ち、

ワタシの心の中に棲む「空手の鬼」を知るお弟子さんは、これでいなくなったのである。

ワタシの「空手の鬼」は、これでもう必要ねーということである。

ってか、この子たちが、

ワタシの「空手の鬼退治」をやってくれたのである。

で、「空手の鬼」が、やっと「空手の先生」らしくなれたのである。

こんなお弟子さんたちに心から感謝するのである。

 

奏ちゃんにはつい先日、この動画のお弟子さんには何年か前の帰省した時に、

「先生の言うことは絶対で、正しい。」

なんてことを言われたのであるが、

自分で正しいとは思えないような、オレは間違ってるだろ・・・てなワタシを

「絶対に正しい。」

と、100%信じ続けてくれた、その心が正しいだけである。

その心で、これからどんどんと活躍して欲しいモンである。

 

咲 心太郎

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