不思議な越知山の話。

コロナが世界中で大暴れだね。ぜんぜん収まりそうもねーし。

外出禁止にする国も出たりして、これからいったいどーなってしまうんだろーか。

未知なる窮地に立たされた時ほど、人間の本性が現れる・・・。

ワタシは35歳くらいから白山を中心に山に登るようになったのだけれど、

あまりにも山が好きになり過ぎて、

「山でなら死んでもいい。」「オレの死に場所は山だな。」

なんて本気で思ったり言ったりしてたんである。

そんな3年前の春だったか、白山を開山した泰澄さんが若かりし頃、毎日修行して、

また晩年をお過ごしになったという「越知山「に初めて登ったのだった。

初めてなのでネットで調べてみると、初心者でも問題ないような山で、

登りも2時間くらいで、まぁ、ピクニックな感じで登れそうである。

で、空のリュックで家を出て、途中のコンビニでおにぎりや飲み物を調達して

山をナメ腐った超軽装備で越知山の登山開始である。

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修行道コース、ワタシにはもってこいのイイ響きである♪

「2.5時間か~。」、ワタシの足☆なら1.5時間である。

なだらかな登山道で登り始めてすぐは、杉や竹なんであるが、

途中から・・・

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ブナの原生林である。ブナが大好きなワタシなんである♡

しかも新緑の若葉である♪

こんなところでブナに会えるなんて、もーたまらんのである。

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上に行くほど、ブナが太っとくなるんである。

この日は快晴で、木漏れ日もたまんねーのである。

で、越知山は海に近いから、ブナ林の間からの海風が超心地いいのである。

空気がめちゃめちゃ美味いのである。

木漏れ日と海風と静寂の中に小鳥の鳴き声・・・

そんで、ワタシ以外に登山者が誰一人いないという・・・

どうやら、この辺りで、ワタシの脳みそがどーにかなっていたようである・・・。

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こんな見晴らしのイイところもあったりするんである。

そんで、この山で修行をしてた泰澄さんに思いを馳せるんである。

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イイ場所見っけー。山頂付近にある神社である。すぐに参拝を済ませ、

ここで、一人稽古をやるんである。ワタシはとにかく空手おバカなんである。

稽古を終えて、この神社を出るとすぐに、また建物があって、

どうやらそこが越知神社のようである。

で、参拝を始めると、中からご老人が出てきて、話かけてきたのである。

どうやら、この神社の宮司さんのようで、とても愛嬌のイイおじいちゃんである。

「あんた、一人で登って来たんか。」から始まって、

勝手にお祓いまでしてくれるんである。

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御神木である。写真ではわからないけど、とにかくデカくて太ってーのである。

大木マニアでもあるワタシはもうたまらんのである。

「あんた、この木に頭をつけて抱きついていきなさい。」

と、おじいちゃんが言うんである。

普通どこでも、御神木はお触り厳禁である。でも、おじいちゃんが言うんだから

もちろん大木マニアのワタシは頭をつけて抱きつくに決まってるんである。

で、ここでも脳みそがどーにかなったようである。

そんで「一服していきなさい。」と

お住まいの建物に招かれ、お菓子とお茶を御馳走になって

越知山の歴史や不思議なパワーの話なんかをたくさん聞かせてくれたんである。

なんか、不思議なおじいちゃんだなぁ、と思ったんである。

と、「途中で、熊やら鹿やらオロチ(蛇)には遭わんかったか?」

で、「遭いませんでしたよ。」と答えると、

「おかしいなー、なんでやろ。」

いやいや、おじいちゃん、あんたがおかしいこと言うてんだよ。遭いたくねーよ。

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そんなおじいちゃんに別れを告げ、山頂でおにぎりをいただくんである。

遥か向こうの空の中に白山が見えるんである。サイコーである♪

泰澄さんもきっと、ここから白山を眺めていたんだろーなー。

で、そろそろ下山を開始である。

すると下山を始めて10分くらい経った頃、登山道の目の前に動く物体・・・

いきなりオロチの登場である。で、おじいちゃんの言ってたことを思い出し、

(おい、熊とか鹿とか出て来ないやろな・・・)

と、急に不安になったのである。

けど、やっぱりブナ林の心地良さに、そんなことはすぐに忘れ、

とてもイイ気分で歩いていたんである・・・

が、ふと気が付くと、ここはどこ?ってなってしまったのである。

知らないうちに登山道を外れていたのである。

ここまで来た、しばらくの記憶がないのである。

どこへ、どう戻ればいいのかも、どっちへ行ったらいいのかも・・・

何もわからないんである・・・

「遭難した・・・かも。」

で、とりあえず、あちこち歩き回るのだけれど、登山道が見つからないのである。

そんでまた、歩き回っていたら、突然、ワタシの2,3m手前に大きな物体が2つ、

鹿が2匹現れたのである。しばらく見つめ合って、どっか行ってくれたんであるが。

(オロチ、鹿ときたら、今度は熊やん・・・。)

もしかして!?あのおじいちゃんには予知能力があるんじゃなかろーか・・・

なんて思いがよぎった途端、ワタシは超ビビり出したんである。

で、山の中をそこらじゅう走り回って登山道を探したのであるが、

いくら探しても見つからねーのである。

だんだん日暮れも近くなってきて・・・

(あ~今日は、山で一夜を明かさなアカンかも。)

と、思ったけれど、山をナメ腐った超軽装備。

飲み物も底をつき、頼りはジッポライターのみ。

(火を焚けば、どーにかなるやろ。)

と思うけど、ビビりを覚えた脳みそはそうはいかず、

また、山を駆けずり回ったのである。

でも、やっぱり登山道は見つからず・・・もうダメだーと、あきらめた瞬間、

「オレはこんなところで絶対に死にたくねー。」

と、大絶叫しまくっているワタシがいたんである。

あんなに、山でなら死んでもいいと本気で思ってた言ってたワタシが

死にたくねーと、一人、山の中で空に向かって大絶叫の連発である。

未知なる窮地に立たされると、本性が現れるとはこのことである。

ホントに情けねーワタシである。でもホントに死にたくねーのである。

で、また山を駆けずり回っていたら、なんと遠くに人影が・・・幻覚なのか?

猛ダッシュで駆け寄って助けを求めると、

地元の方で、たまたま山の中に作業に来てたらしく、

で、山に詳しくて、道と方角を丁寧に教えてくれて無事に下山出来たのである。

あんな山の中で人に会うなんて、しかもおじいちゃん以外に会った、たった一人・・・

奇跡としか思えないんである。

で、喉がカラカラだったので、帰り道の道路脇の自動販売機でコーヒーで一服・・・

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ふと目の前にこんなんがあったのである。

山を駆けずり回ったら、道は開けたのである。

でも、山で迷うに比べたら、人生での迷い道なんて、開けなくても、

どーってことねーのである。と思ったのである。

で、一年後、また越知山に登ってみたのである。

でも、迷いようのない登山道で、どこで迷ったのかもわからないんである。

いったい何だったのだろーか、あの遭難未遂は・・・。

あの日を思い出すと・・・

ホントに不思議な越知山である。

で、

ホントに情けねーワタシである。

でも、

いろいろ教えてくれた不思議な山である。

咲 心太郎

コメント

  1. […] […]